カメリア・カレッジ 教育講座(第3回)平成23年2月12日


教育講座(第3回) H23.2.12

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☆★はじめに☆★

2011年2月12日、特別養護老人ホームカメリアでカメリアカレッジで教育講座(第3回)が開講されました。カメリアカレッジは月1~2回程度水曜日の夕方に開講していましたが、地域の方がお越しになりやすい時間をと考え土曜日の午後の開講となりました。教育講座は1月~5月まで一ヵ月につき2回のペースで開催されます。この講座開講にあたっては旧亀島小学校の初代校長である三浦一郎先生の全面的なバックアップを受け、講師の調整や全体の流れなどのプロデュースをしていただきました。

今回は第3回目の開講。江東区立第一亀戸小学校の校長である永岡幸夫先生による「第一亀戸小学校の沿革と現状」と題した講演が開催されました。地域町内会の方、カメリアカレッジを通じてお付き合いのある方など28名の方の参加でした。第一亀戸小学校はカメリアのある亀戸3丁目の校区にあたり、この地区の多くの児童が通う小学校です。

会の冒頭に湖山理事長より先日帰国したばかりのタイ・カンボジア視察研修の報告が行われ、カメリアでタイからの研修生を受け入れについて話をされ、湖山医療福祉グループ、カメリア会で研修生を受け入れる目的ではなく地域全体で研修生を受け入れる必要があるので是非協力願いたいと話をされ会がスタートしました。

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講師紹介:永岡 幸夫(ながおか ゆきお)。昭和24生まれ。東京・江戸川区小松川生まれ、現在も小松川で在住。東京学芸大学卒業。西小岩小、中野区上鷺宮小教頭等を経て現在、第一亀戸小学校校長。社会科を専門とされ、区の社会科副読本の編集委員長を務める。

☆_講演の要旨_☆

<第一亀戸小学校>
・ャ第一亀戸小の歴史:戦火により焼失。113年の歴史。
・ャ生徒数415名。学級数13(江東区内の小学校では中規模校)
・1年生3クラス、2~6年生は2クラス体制。
・ャ第一亀戸小の職員体制:
・主幹、主任教諭:3年前~、
・経験や能力を加味・選考試験により選抜。
・スクールカウンセラー:毎週月曜日の午後に勤務
・小1支援員:夏休みまでの任用。
・英語活動講師:生の英語を教育。

40名が教育活動に携わる。

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<学力向上>
・教師の指導力向上(児童の実態把握、意欲づけが大切)
・興味・関心を喚起する教材の工夫、学習の確立、
・生活習慣の確立(家庭との関係、睡眠食事、服装、持ち物)、
・学習形態の工夫(複数の教員による興味喚起、教育。2~3名の教員が携わることも稀でなくなった)
・少人数教室、TT、学力強化講師(4年算数が重要視されている)
・学習支援員(個別支援)、小学支援員(入学直後の支援。~夏休み)。

<体力向上>
・江東区体力向上推進モデル校となっている(22年度~23年度)
・東京都の児童の体力が全国の相対比較で低い。東京都全体での取組み。
・2011年1月26日午後に報告会実施。
・校内研究(体育科。体力向上のための取組み)
・歩数計で運動量調査実施(2万歩を超える児童も。1.5万歩を目安に東京都では指導)
・区全体での取り組み+学校独自の取組み。

<不登校の解消>
・こどもの心を知る(学校 家庭 人間関係)
…なぜ(不登校)? 原因(学校? 家庭? 複合?
単純ではない「こどもの心」に共感することが大切)
・保護者を支える(保護者はどうしていいのかわからない。いっしょになって支えることが重要、マニュアルがない。個別に理由は多様。あせらずに取り組むこと、一歩でも前に進めていくこと。)
・校内での情報共有(何かあったら校長と共有。他の教員との共有。
すべての教員で情報交換。校内情報はオープンに)。
・関係諸機関との連携(区の子ども家庭支援センター)
・居場所の確保(学校を常に開いておく、そばに寄り添う、そのためにも校長のリーダーシップが大切)。

<校長の一日>
・7時30分出勤
(諸帳簿確認、…インフルエンザ、感染症、幼稚園副園長との打合せ、副校長、主幹との打合せ、児童登校迎え、朝会・集会・朝読書巡回、朝の打合せ等、幼稚園迎え、校内巡視、毎月の定例会議出張、都や区への提出書類作成、来客対応、学校配布物の確認・校正、授業観察、幼稚園行事参加、校長会、区の各種会議、区の研究会関係の会議、担任等からの報告と相談、校内会議、自主的研修会等々)
・校長の役割:こどものすべてを受けとめる、こどもの自立と自律が目標(発達途上のこどもの成長を促す、それに向かって、長い目で見通す。先々どのようになるのか?)。
・保護者を支える、職員をリードし支える(精神的な不安定さを支える、本校ではそのようなことにならないよう支える)
・地域のみなさんに支えていただける(113年間地域の皆さまに支えられている。学校を守り育てる)
・校長は学校の顔である。

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<永岡先生との質疑応答>

≪質問≫孫が保育園に通うが、幼稚園と保育園は教育が異なるように思うがどうなのか?
≪回答≫幼稚園は学校(文科省)になり教育は計画的に実施、保育園(厚労省)で預りが主たる目的。預り時間が異なるなどの相違はあるが、実際には教育のレベルなどに入学後に相違はないように感じる。保育園でも幼稚園で行うプログラムが行われておりそれほど相違はない。子ども園(幼稚園+保育園の合体的な機能)もある区内に1つある。子どもの活動(幼稚園には園庭とプールがあるが、保育園にはない)、幼稚園教員、保育園保母の交流が生まれている。

≪質問≫子ども園構想はうまくいくのでしょうか?
≪回答≫幼稚園のメリット・特徴あり、保育園での特徴あり、保護者の要望としては通園時間を長くしてもらいたいという要望が強い。月1回預り時間を長くする工夫をしている。保育時間を長くする体制も整えているが現在の教員数では対応が厳しくなりつつある。国の方向性では幼保一体化の方針となっている。

≪質問≫子どもが小学校の時代、新入生を6年生が迎え、給食、掃除の手伝いをしていた。自らにとってもいい経験になっていたようだ。一亀小ではどのようにしているのか?
≪回答≫6年生が1年生を迎えることは5月までは行っている。紙芝居、読書の手伝いを現在でも行っている。5年生が就学時健診の手伝いをしている。それ以外には遠足の手伝い、登校班の手伝い。幼稚園と5年生。幼稚園と2年生とのかかわりもある。

≪質問≫公開授業を見に行ったとき、率先して行動するこどもがいたが、学校と家庭とのギャップについてはどのように考えているのか?
≪回答≫学校と家庭では異なった動きを見せることもある。家庭では恥ずかしくてできないことでも学校ではできていることがある。ほめなければこどもは育たない。

≪質問≫家庭訪問はなぜしないのですか?
≪回答≫教員に時間のゆとりがないことが要因。授業時間確保の関係で家庭訪問ができなくなっている。家庭を知ることが大切。新学習指導要領では1年生も6時間授業となる。やがては土曜日の授業も始りつつあるようで将来的には土曜日授業も開始せざるを得なくなるのではないか?ただ土曜日に頻繁に行っていた子どもの地域活動の時間が少なくなり懸念している。

≪質問≫ゆとり教育による学力低下は本当にあるのか?
≪回答≫メディアで騒がれているがそうではないと思う。このようなメディアの報道の中で意見が言えない状況にあることが残念。

≪質問≫携帯電話の問題は如何?
≪回答≫小学校には持ち込まないルールにしている。保護者の事由で担任が預って対応することもある。3分の1程度の小学6年生が家庭では所持しているようだ。今後必要なメディアではあるが、使い方を誤らないように知る必要(家庭で行うこと)はあるし、保護者が指導する必要はある。うまくつかいこなすことが大切。

<さいごに>

私たちの感覚的に知っている小学校とは大きくその役割と、使命の異なる小学校の教員。校長はその最もたるもので朝から夜まで多忙であることと、広範囲な仕事で子どもの成長を支えていることがわかりました。地域の中での小学校の使命は大きいですが、やって当たり前のような風土。高齢者介護と同様に地域全体で学校教育を支えていく強い想いを育てていく必要があることを実感します。タイ研修では信仰心を基本にした地域の絆が強いことを実感しましたが、日本では高齢者介護に限らず学校教育でも「地域の絆」が求めれているのでしょう。
次回は2月19日(土)14時~16時に「本校教育の沿革と現状」の演題で江東区立香取小学校・校長の春名先生に講演していただきます。
参加無料です。参加・聴講をご希望される方はカメリア会(03-5836-2311)までお問い合わせください。